★あれは旦那の友達ですか? | ペルーで事件簿2

★あれは旦那の友達ですか?

仕事を空港で終えたのは夜9時半。
空港ビルを出てすぐのところにいる、客引きをしているタクシー運転手を捕まえる。

胸のところには「Andes Car」、空港で働くことを正式に許可されているタクシー会社だ。



サン・フェリペ


オッケー、25ソルです。


うん、ええよ。50ソルしかないんやけど釣りある?


ああ、じゃあ35だ。15ソルのおつり、これでいいですか。


は?自分最初25ゆうたやんけ。なにかえとんねん。


…わかりました。じゃあいきましょう。




「アンデス・カー」のその男、止まってた一台のタクシーに声をかけ、何かやり取りをしていた。




じゃあだんな、25ソルしかいただきませんからね。いいですか。25ソルですよ。


あたりまえや。




空港を出てしばらくすると、そのタクシー運転手が聞いてきた。




時に旦那、空港で私に声をかけてきた男、あれは旦那の友達ですか?


は?友達も何もあんたの同僚やろ。


いやいや、私はただの街のタクシー運転手ですよ。


え?イヤ、俺は空港付きのアンデス・カーという会社のタクシーをつかまえたんやで。


いや、私とは一切関係ないですよ。


はあ?意味わからへん。


いやね、あの男がわたしにいうんですよ


うん


「客を紹介する。ここに50ソルあるから15ソルもらえ。お前は紹介料として俺に今10ソル払うんだ」


あいつが10ソル?であんたは15ソル?つまり俺はだまされたの?


…。


だまされて保証のない空港以外のタクシーにこの夜遅くに乗せられたの?


いや、私は安全です。


うん、そりゃあわかってるけよ、運転手さんはいい人だ。


心配しないでください。問題なくお送りしますよ。


でもね、俺は25ソルも払おうとしたのは安全のためだ。保証のない街のタクシーのためじゃない。


…。


安全を気にしないなら最初から空港の外に出て10ソルで家まで帰ってるっちゅうねん。


…。


もし運転手さんがピストル持ったチョロ(悪者)だったらどうすんねん。


そうですよねえ…。




こういうことは許せないと思った。

海外から来る観光客が最初に降り立つ空港に安全がなければ、どこに安心があるのだ。




運転手さん、空港まで帰ろう。






…つづく