★あれは旦那の友達ですか? 最終章 | ペルーで事件簿2

★あれは旦那の友達ですか? 最終章

まあ「最終章」などとおおげさなもんぢゃぁないんですが。


1  と 2  の続きです。さあ、カンは果たして目的を達することができるのか?

ちゅーか目的って?


えーと、今回はわけあって、時間のない方は

ぼんちな警官」から二重まぶたのたこが出てくるまでの部分を、

飛ばして読んでもオチにいっさい差し支えはありません。


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ぼんちな警官は言う。



旦那の気持ちもわかりますよ。私にも日系人の友達が何人かいましてね。

不具合があった際にはすぐ気分を害するんですよ。



…おい。ちょっと待て。俺はもしかして騒ぐ必要のないことで騒いでるヒステリーなの?

その警官の認識は実際に5分ほど空港から歩いてついた交番で、更にはっきりと示されてしまった。


まず別の警官が僕に聞く。



何か盗られたのか?…ん?違う?ああそう…。



んー…。



では調書をとりましょうか。まあ、これでだんなの気がすんでくれたらいいんですがね。


イヤ…、気が済むとかぢゃなくて、犯罪予防…。空港の安全、ひいてはペルーのイメージアップ…。


まず最初は旦那がアンデスカーのタクシー運転手に声をかけたと。そして値段を聞いた。

旦那は25ソルという提示に了承を出したが、その男は後で…。


んー…。

まあ、それはええよもうこの際。

問題は男が俺からお金を受け取った25ソルのうち

10ソルを自分の懐に入れて15ソルをタクシー運転手に渡した。

自分のタクシー会社の運転手にじゃなく、街の流しにね。


なるほど。ではこうしましょう。

「9月21日午後9時半頃、セニョール・カンはアンデスカーの運転手に声をかけ、

25ソルを払い…(中略)…そして安全の保証のない街の運転手に乗せた」…と。

これでいいですかね。


あー…。ええですよ。そんなかんじで。


ではここに私が書いたということで日付を入れてハンコを押しますね。

いいですか、ここにも押しますよ。

さあ、これを今から調査委員会長のセニョール・パチェコに渡しましょう。



宿舎で睡眠中のセニョール・パチェコ、パジャマで登場。



…うん、ああそう。うーん…。わかった。じゃあ、またあさってにでも電話するよ。

今は夜で調査委員会の資料が取り出せないから、

またその時にでもアルバムを見て君をだました人間を教えてくれ。


旦那、その時事実関係がはっきりしたら、アンデスカーを通して、

私たちは厳重注意をすることができる。

もし同じことが二回あったら、今度はクビだ。いいでしょうそれで。


あー…。ええけど。



その後一週間たった今でも電話がかかってこないのは言うまでもないことですが、

確かにしゃべるだけしゃべって気が済んでしまったのと、別にクビにするまでがんばる気もないと。

通報するといっても、どういうふうに通報して、どういう結果を求めるのか、

そこまでは考えてなかったと。


というのはね、だーいぶ前に、クビ締め強盗に、僕はあってるんですね。

その時は明らかに注意を怠った僕に100%非があるんですが、

その時「どうせ警察に言ってもダメだ」とおもって、通報も何もしなかった。

それを親友のアントニオは、


「みんなそんな調子だからいつまでたっても犯罪者が減らない」


と僕を諭した。

で、今度何かあったらしようと。

そして今回のことが起こったわけですわ。

ぼくはそれで、警官が積極的に


「よし任せとけ、俺たちが何とかする」


的な反応をするのを無意識に待っていたのだ。

「空港」→「安全」→「警察もがんばる」という図式があった。


フツーに考えたらそんなわきゃねえか…。

大体どんな犯罪でも被害者が本気で訴える気がなければ警察は動かないのは

日本も同じだ。


まあ、ええ経験でしたわ。


今回のことで得られた教訓。



1.訴えるときは本気で

2.空港でタクシーに乗るときは「グリーンタクシー」



  futaedako



…調書を取り終えて、ぼんちな警官は僕を空港へと送り届けます。



で、そりゃそうと旦那、おうちにはどうやって帰るつもりですか?


ん?そりゃ時間も遅いし、空港のタクシーを使うよ。ちょうど今ポケットに25ソルあるからね。

そんだけありゃなんとかなるだろ。


ああ…。まあ、私がお供してもいいですがね。


は?お巡りさんが?


ええ…。私の車はそこの空港の駐車場の出口のところに止めてあるんですよ。


んー…。なるほどね…。で、なんぼとるの?


そりゃあ…。タクシー運転手に払うのと同じ分だけで…。


10ソル?


イヤイヤイヤ! 空港のタクシーですよ。街のじゃなくて。25持ってるんじゃないですか…?


ああ、しっかりしてるなあ。でもさ、もう仕事を終わってうちに帰るついでって事?


いやいや、私はまだ朝まで仕事がありますよ。今日は夜勤なんで。


へー…。まあ、お巡りさんなら危ないことはないからええけど。大丈夫なん?


なーんにも問題はありませんが。


ああそうっすか(苦笑)。ほないきましょか。




  con un tombito



まあそんなわけで、僕は




勤務中の


制服を着た警官の運転する


その警官の自家用車に乗ってうちまで送ってもらい


降りるときにタクシー代金として25ソル払いました。




まあ…ぺるーですからね。








オチ…ついたでしょ?