★よくある風景 ― レンガ投げ
ペルーに一年以上住んでいる人であれば誰でも見ているであろうこの光景。
建築現場でレンガを上までまとめて何かに入れてひっぱり上げる電動ウィンチがなく
下の人が投げて上の人にレンガを渡すというアレです。
絵のケースは三人の連係プレイで三階まで一階の高さから上げているというケースですが、
これが四人になる場合もしばしば。
結構フツーにうまいことやってるんですわ。
いっちゃんしんどいのは真ん中の人?
受けて、投げて。
しかも体の向きの変更まで要求される。
肩・背筋だけでなく体の側面のねじる筋肉まで使う。
わき腹の辺。
野球で言えば外野からバックホームするときの、
中継役ですな。
楽なのは一番上の人。
下の2人が
-「ほうらいくでぇぇ」
-「おっしゃこぉぉい」
って気合と集中力でやってるのに対して上は
「バッチこーい」
みたいな。
待ってるだけ。
リーダーはやはり真ん中の人でしょうね。
一番能力のある人。
しかしリーダー含め一番力を使ってる下の2人からしたら、上の楽なやつがムカついて仕方ない。
「おまえに投げ続ける気持ちがわかるか」
もしくは
「お前に何が投げれるってんだ」
という思いが常にある。
というかその思いが転化して
「投げれるのは俺らだけなんだ」
という誇りが生まれる。
上は上で引け目があるから何もいえない。
自然、飲みに行くときにピールセンをおごるのは上のヤツ。
「俺も投げたい」
そんな気持ちが高まってくるが、
下の2人は強い連携で結ばれてて、
上のヤツをもう下に下ろしたくない。
上は上にいるのに、もう下になってしまっている。
下は下にいるのに、もう上になってしまっている。
優位性の逆転が起こります。
…しかしある日、上のヤツがレンガを受け続ける生活に耐え切れず、
ついにブチ切れ。
な げ て え 。
レンガを投げて、仕事まで投げてしまったという妄想。