ペルーで事件簿2 -10ページ目

★これはえらいこっちゃ

以前から噂されていた南北アメリカ大陸最古の文明跡とされるカラルでの研究結果が、リマの国立博物館において明らかにされました。


これは旬のテーマですよ。ブログのテーマを「歴史」とせず「カラル」と特別扱いするだけの価値があるというもの。




Caral




カラルとはリマよりおよそ182kmほど北に行ったところ、全米横断道路より23kmほど離れたところにあるスペ谷の中にある一地域です。


その歴史なんと4500年から5000年。世界の古代文明と比べてもエジプト文明と肩を並べるほどの古さを持ちます。一般的に三千年とされるペルーの歴史を2000年も大胆に上乗せするのです。教科書も間に合いませんよ。しかもただ古いというだけではなく、ペルー史において大きな意味を持つ。なんと



キープがその時代から使われていたのです!



一般的に500年ほど前のインカ帝国の通信手段と思われているキープが、なんとそのさらに4000年も前に使われていたと!



quipu



これがその世界最古のキープの写真です。


まあ、カンよ、興奮するなと。カラルなんてもう去年から四大文明の概念を覆す文明として噂されているじゃないか。


しかしね、「カラル」「キープ」でググって見てください。「ボトルキープしてウィスキーグラスがカラルと鳴った」それぐらいしかかかれてない。つまり、日本語のホームページで、カラルとキープを同時に取り上げているのは、2005年7月21日現在、 ペルデジ2だけ! つまり日本語HPの中で、世界で一番早くこの話題を取り上げたHPが、あなたの見ている ペルデジ2 なんです!



…そんなことはどうでもいいからもっと情報がほしいですか? まだありますよ。


「カラルの男」


なんか「ラマンチャの男」みたいでかっこよくないですか。色々情報はあるんですけどね、明日は朝一で国立博物館に展覧会を見に行ってくるので、早起きなんです。



もう寝かせてください…。



不満な方はこれまた日本語HPで唯一の、ガマラ商店街から見たセロ・サン・コズメの写真をどうぞ。


cerro san cosme






おやすみなさい。


★典型的なやり方

人から聞いたことはあったけど、実際記事で見るのは初めてです。



ホテルの従業員によると、その中年の男性は火曜日夕方6時、

とびきり若くてきれいな女の子とチェックインしました。

しかし30分後、あわてて階段を下りていくその女の子がホテルの清掃係に目撃されています。


22時間たった翌日午後4時、清掃係はその中年の男性がベッドに半裸で

うつぶせになって死亡しているのを発見します。

検死の結果心臓に大きな負担がかかってのことだということですが、

男性の財布がなくなっていることからも、女の子がアルコールに薬を混ぜて眠らそうとしたところ量を誤り、

殺してしまった、というのが予測される経過です。

ミラフローレス、リカルドパルマ通りのあるホテルでの出来事です。





「エイズに苦しむ子供達に合いの手を」


…そう言って募金を集めていたのは40歳前後の女性二人、ナルダとトマサ。


「希望のしずく基金」 


または


「ペルーでエイズ、みなしご、貧困によって苦しむ子供・青年のためのボランティア協会」


の一員と称して募金を街角で募っていました。

もちろん、二人はどこの慈善団体にも属しておりません。

で、木曜日カナダ通りで自分達のための慈善事業をしていたところを逮捕されました。


しかしね、そんなことで逮捕されるんならバスに乗ってきて


「私は心臓病で苦しんでいるのですがお金をください」

といいながらお金をもらったら走ってバスを降りるおっちゃんや


「私は知能障害があるのですがお金をください」

といいながら降りるときにかなりすばやく達者な罵声を料金徴収人に浴びせるおっちゃんは


皆お縄ですがな。皆嘘とわかっていながらもお金を上げるので、まあいいんですが。




しかしにもまして許せないのは携帯電話会社のTIM。

AUDIOVOX GSM-609というアメリカのメーカーの携帯を四月に買ったのですが、

メールをしてたり電話をするときによくひとりでに電源が切れる。

文句を言いに行ったら「なおせない」との事で新しい機械と交換。

しかしまた切れる。また交換。

今度は壊れてないのかチェックしたので大丈夫です」

しかし、また切れる。で、従業員が言ったのは


「お客さんは既に二回同機種の機械を交換されているので、次は他のメーカーと交換します」


他のメーカーと交換するってのは僕が一回目に提案したのだけれど。


機械が三台とも同じ欠陥を示したということは、僕のぶんだけでなく

他の人の使ってる同じメーカーの同じ機種にも欠陥があると考えられる。

ということは既に何回も何人も同じ事でクレームをしているはずだ。

にもかかわらず最初から他のメーカーと交換しなかった。そして例の「二回交換したから」という妙な理由。


99パーセントの確率でTIMの従業員は上から


「全台リコールは金がかかる。文句を三回以上言ってきた人間の機械だけ他メーカーと交換しなさい」


というお触れが出てるに違いないのだ。


「途中で切れるけど使えるからいいや」



そんな引け腰ユーザーが、ペルーには多いのかね。

★くにを離れて…

先日コヨーテ隊 に海のど真ん中に放置され、危うく死に掛けたペルー人達が帰ってきました。



遭難が報道された当時は家族の同情的なコメントが多く新聞に載せられましたが、

僕はそれを眉唾物で見ていました。


だって、ペルー人の二年分の平均年収に値する額を

違法に行ったコスタリカ沖で海に捨ててきて、テレビ新聞にそれを大きく報道されて。

最初は奇跡の生存に感動こそすれ、現実的なペルー人が…。

「彼らは希望の地に着けなかった事を家族にわびるかのようにTシャツで、

 タオルで、セーターで、まるで罪びとのように(罪びとなんだけどね、違法に渡航したから)顔を隠し、

 バスから降りてきた」


早朝三時のバスターミナルには家族の感動の涙も、歓喜の叫びも、暖かい抱擁もなく、

ただそこにはこわばってなかば絶望的な笑顔があるだけだったと。

そろそろ冬を迎えるリマの冷たい都市の空気は、そのまま家族の気持ちを代弁していました。



どうすんのよこれ



まあ、痛い目にあって、もうこういうことはしないでしょう、無事に帰ってきた33人のペルー人たち…


あれ?10人足りないよ?向こうに残ってるって?また密航する機会をうかがって?



帰ってきた人たちのインタビューです。答えてくれたのは一人でしたが。またアメリカに行きますか?



「コヨーテ隊が俺たちを法って逃げた時、俺はサメに食われて死ぬかと思った。

 もうあんな思いは嫌だ。もう二度とアメリカには行かない、海からは

 またいくかって?そりゃあね。家族のより良い未来のためにね」



…アメリカだけではありません、更に貧しいボリビアにも現在6万人のペルー人がいるというし、

アルゼンチンには8万人のペルー人が大部分違法に滞在しています。

あるアルゼンチン違法滞在ペルー人家族の生活。






argentina



昔はホテルであったふっるーい建物の一室、2メートル四方のその部屋に、ヨバナ(18)とヨアナ(22)は、

家族六人で住んでいます。その狭さの中にトイレ、台所、ベッド、テレビ、ラジカセ。

六人のうち二人は幼い子供です。


チリと同じように白人主義のこの国で、ペルー人違法滞在者たちは

お手伝いさんか道端で売り子をします。


警察の目をかいくぐって街で靴下を売ることになれたヨアナは


「こうやって働いて、日に30ペソ(12ドル)は稼げるわ、でも時々もうちょっと多いの。

 ちょっとね、時々高く売るのよ。でも一日の終わりにちゃんとバレないように計算をあわせないといけないけど」


笑顔でそういうヨアナですが、「ペルーに帰りたいか」と聞かれると顔が凍り、涙が。

家族に今どういう暮らしをしているか、知られたくない。



一方ヨバナはおばに「アルゼンチンに行けばたくさんお金が稼げるわよ」といわれ

専門学校を中途でやめてやってきましたが


「恥ずかしくてペルーには帰れない。友達はもうみんな勉強を終わってるのに、私は違う」



しかしペルーは恋しいと、若い二人の女の子は言います。




…ペルーはね、経済的・政治的な問題はあるけれど、ほんとに豊かであたたかい国なんです。

そして豊かな人間関係。




一時期大ブーム(大ヒットではない、95%海賊版で売れるから売り上げはほとんどなし)であった

ペルー人歌手ペドロ・ベルティス・スアレスの歌。



♪ もしおまえが帰りたくなったら

   ここには友達もいて 居場所もあるし 女も居る

  皆だきしめてくれるさ こういうだろう 「昔のままだよ」

   そして皆おまえの名を呼ぶ 力いっぱい心を込めて ♪




いいのは、人間関係。


★ボリビアなんじゃこりゃ

首都ラ・パスがデモで今南米一番危険な都市になってしまったボリビアですが、

僕が旅行したときは色々お間抜けなものを発見して、ほのぼのとしたところでした。

ラ・パスのイメージ回復のため、今日はそんなお間抜けな写真をどうぞ。



La Paz mirador



このようにすり鉢上の都市ラ・パス。もちろん坂が多いので、移動にバスは欠かせません。

もちろんお金を払ってのりますが、払いたくない子達は…



La Paz micro



このように横着をします。危険じゃないの?大丈夫なの?と思っていると…



La Paz ninja    



おおっと、ラ・パスには忍者がいるの?これならバスに捕まるくらいは大丈夫でしょう。


しかしどうやって訓練しているのだろう。忍者の訓練は大変だぞ、ちびっ子は耐えられるのか?

と思っていると…



La Paz columpio



なんと対面型対戦ブランコ! これなら楽しみながら反射神経が鍛えられるというわけか…。


しかし日差しの強い3900m高地のラ・パス、外での訓練はお肌のあれが気になります。

と思っていると…



La paz parasol



おお、全方向型パラソル!これならどこから太陽がさしても大丈夫というわけか!


やるなボリビア忍者。しかしこんな訓練ばかりで、実戦で敵に襲われたときにびびらず戦えるのか。

と思っていると…



La Paz caracol



おっとこんなところに身の丈2mはあろうかという巨大生物が!

これに慣れておけばどんな怖い敵が来ても大丈夫というわけか…。



この公園こんなんばっかりや…。



しかしこんなハードな訓練をして身が持つのか。

と思っていると…


La Paz timpo



ボリビア名物 「○ンポ」 !

そりゃあさぞ力が付くでしょう…。





まあ、ボリビアはこんな感じでとてもええとこです。デモが終わったら是非遊びに行きましょう。


★どうなのよ

逮捕された強盗グループは、他のどの記事の強盗グループの記事より際立っていました。



アレキパという通りはリマの中でも新市街と旧市街を結ぶという点で

リマのメインストリートの10本のうちの一本ですが、

あるありがたくないことでも有名です。



夜中になると、ミニスカートをはいた女性、もしくは女性らしきもが立っているのです。



その「女性らしきもの」の方に高価な化粧品を売ると見せかけて近づいて

そして身包みはがすという二人組みの強盗が、先日逮捕されました。

なぜその「女性らしきもの」を専門で狙ったのかはかかれてないのですが、

より女性らしく見せようとして身につけているアクセサリーが狙いであったと推測されます。



まあそんなことはいいんですよ…。



僕は「ペルーのどこがすきなの?」と聞かれたらまず


「人が好き」


というふうに答えます。

家族の結びつきというものが日本では考えられないほど強いし、

見知らぬ他人同士の優しさが、犯罪の多さにもかかわらずはっきりと残っています。


たとえば、バスで座っているとき、足の悪い人や妊婦、老人が乗ってきたら、ペルー人はすかさず譲ります。

僕もそれを見習って、すぐに席を譲るいい子なわけです。

今日も満席のバスに座っていて、スカートをはいた女性がバスに乗ってきて、

僕の横に手すり棒に捕まって立ちました。

乗って来た時、ちょっと歩きにくそうにしていたことに気付いていたし、

どっか足が悪いのかな、レディファーストで、ゆずろっかなって、

その人の顔を見上げたとき僕が見たのは



濃いヒゲ



えー…っと、あーーー。う…ーん。


まあ、好きなだけ…立ててなさい、イヤ、たってなさい。



しつれえいたしました… m(_ _)m





追記1:歩きにくそうにしていたのは、長身にもかかわらずはいていた、高いヒールのせいでしたとさ。


追記2:ヤフーで こんな記事  が。ペルーでは女性の方がかなり多く生まれると信じられていますが、

     ペンギンと同じことが人間にもおきる?

★二つの電柱の張り紙に見る一つのコントラスト

「 もしここで強盗をしたり


  盗みを働いたりしたら


  お前は後悔する     



と町行く人を威圧するのは、リマの最貧地区ヴィジャ・エルサルバドールのある電柱に張られた一枚の張り紙。


ある一家の母親マルチナ・ムニョスはこういいます。



「もし盗みを働く人間を見つけたら、私達は間違いなくそいつを焼き殺してやる。額に汗して働いて働いて、そしてそれを第三者が横からかっさらっていく。もううんざりだ」



マルチナの家でも既に三回強盗・盗難にあっており、苦労して購入したテレビとステレオ、挙句の果てには子供のベッドまで持っていかれたそう。そういう経過があって、地域住民はその張り紙をすることを決めたそうです。


実際犯罪はその張り紙のある地区で半分以下に減ったということなんです。




一方、昨日僕がリンセ地区で見つけた張り紙。


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尋ね人


名前: イエス

年齢: 33歳

人種: ユダヤ人

職業: 大工

罪状: 真実の預言、及び神の息子だと名乗った事、または自分を愛するように隣人も愛せと教えたこと

注記: 見つけられた方は後を追い、他の人に知らせてください。

報酬: 救済、そして永遠の人生


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…こういう張り紙を日本で見かけるなら「宗教団体の勧誘か」そう思ってうんざりするのが関の山。

しかしこの広告には一切連絡先がかかれてません。

ある団体のための直接的な利益を狙ったものではないということ。


90パーセント以上がカトッリク教徒であるこの国では、

もちろん宗教が色眼鏡で見られることがありません。



二つのメッセージは、どちらもシンプルでストレート。

★不法侵入のある一過程

ペルデジ1の1月23日の日記 と、2月9日の日記 にも紹介された不法侵入の実態。その現在進行形の不法侵入の経過をどうぞ。



その貧困地区ヴィジャ・エル・サルバドールにあるロモ・デ・コルビーナは、実は二年前に起きたある事件で有名な場所です。



…2003年の12月11日、不法占拠で粗末な住宅による粗末な住宅街が作られていた

ロモ・デ・コルビーナで火事が発生。湿気の多い砂漠ということで特徴付けられるリマの気候ですが、

不法占拠したてのその地域を支配していたのは、燃えにくいレンガで造られていた家ではなく、

わらなどを布を織るように組み合わせて作られた、非常に軽くて燃えやすい家だったのです。

ある家で起こったプロパンガスの爆発による火はあっという間に拡がり、17区画あまりを焼き尽くし

2400人が住むところを失いました。323人のけが人が出ましたが、幸い死者は出ていません。


その場所で起こった痛ましい事件は、その地域住民の胸に深い傷を残し、決して忘れることのない…


と、書きたいところなのですが、なんと悲惨な事件が起こったその場所に、

再び燃えやすい素材でうちを作って、不法占拠をしているのです。

常識では考えられないことですが、それが貧困というものです。



今年の2月4日から再び始まった不法占拠は、既に不法占拠の第一段階(国有地不法占拠→行政側との戦い)

第二段階(行政側の追い出しのあきらめ→定住)を過ぎ、第三段階(町の初期形成)に移っている模様です。


すでに移動手段としてのモトタクシーの会社が作られ、

違法に作られた電柱に違法に電線がつけられ、町には既に電気が普及し始めています。

水は、もちろん給水車です。

いくつか街角に売店も見られ、家先に植物を植えている家庭も見うけられます。


そういったわらぶきの粗末な家に住むには、体験したものにしかわからないつらさがあるようです。



…子供達は砂地の上にじかに住み、強い風、激しい寒さにおそわれる。そういった暮らすのは不可能である条件の中で

子供達は一日中泣いて暮らす。家を出ることもできないし、つよい湿気により息ができない上、

呼吸器系の病気や発熱にも悩まされる。


「私のベッドはとても湿ってるの。だから寝るときはその上にダンボールを持ってきてしかなければいけない。

 朝咳をしながら目が覚める。子供達は病気になると学校に行けないけど、そうなったら病院に行く。

 治療費だって馬鹿にならない」



しかし!



そこに住む以外に生きる方法はない。これから、わらの家は少しずつレンガの家へと変わっていきます。

この区の区長ハイメ・セアは、既に住民との対話をあきらめています。彼の主張は、



「他の区へ行け」



要するに邪魔者を他に押し付けようと。不法侵入をするくらいの貧民層はやはりどこに行っても不法侵入をして

住居を獲得するしかないわけだから。

住民は住民で、



「不法占拠を仕切った者達に土地を割り当ててもらうためのお金を払ったから土地に居残る権利がある」



と主張します。もう、どうにもならない。




ちなみに、この国の大統領アレハンドロ・トレドは、大火事が会った当時こうコメントしています。



「神様のおかげで、今回の火事で死者は出なかった。


 私は約束する。


 被災者には優先的にこの地に優先的に住居を持てるように手配する。

 この地に電気を通し、上・下水道を通す!」






 約   束   は   果   た   さ   れ   た   か   っ   て   ?




★追跡!1

★ペルー犬


 先日知り合いを案内してパチャカマに行きました。パチャカマといえば… ペルー犬!

 なんか端っこの方に丸いものがあると思ったらペルー犬が寝ていました。


 「おいペルー犬!」


 と声をかけたらトコトコやってきました。しかしよくみると…


 

 金髪!



 モヒカン、金髪。


 なんかファンキーじゃん…。



★チュリン



 行きの道中、車に乗せたおばちゃん曰く



 「色々なお湯がありますよ。鉄の湯、恋人の湯、双子の湯…


 …えっ?双子の湯?


 「はい、双子の湯」


 ―そこにカップルで入ると双子がうまれるの?


 「はい


 ―じゃあ…そこでカップルがエッチしたっちゃりして。


 「はい


 ―「はい」って、やってんの?ほんまに?!


 「やってるはずですよ」



…次回は要チェックです。

 しかし、観光パンフレットを見ると、

 「入るときは二人でも出るときは四人…」

 などと書いてあります。謎だ。



★アメリカを目指して祖国を離れたものの「コヨーテ隊」の裏切りにより一転漂流の民となり

 海上警備隊に救出されて一命を取り留めたペルー人・エンリケの家族のインタビューが載ってました。



 「私達はせがれのことなんか何も知らなかったんだよ。新聞を今日見たら息子の名前が載ってるじゃないか。

 元気でいるだろうね。神様がせがれを守ってくれたんだよ。せがれの命を祝福してくれたんだ



 息子は先週の金曜日の午後一時にリマにうちを出て、翌日ペルー北部の県トゥンベスから電話してきて、

 元気でいること、より良い未来を目指して国を出ることを告げたという。



 「せがれはとても正直で礼儀正しい子なんだ。ドカタで働いているんだけどね。四歳になる息子が一人いてね。

  だからお金を稼いで、今まで手にすることができなかったものを手にしたかったんだよ



一方エンリケの姉は



 「旅をすることは知っていたんですけどね、どこにどうやって行くのかは教えてくれませんでした。

 いくらかかるのかも知りませんでしたが、お金を集めるためにパーティーなんかして、弟に協力しました。


 弟に言いたい、『私達は両手をひろげてあなたを待ってるわ。ここがあなたのうちよ。

 抱きしめてキスしたい気持ちでもうどうにかなりそう。いつも私達はあなたといっしょよ!』」



別の新聞では、コヨーテ隊への依頼料はおよそ8000ドルと書かれています。



★ミラグロスちゃん


milagritos



術後の経過も順調なミラグロスちゃん。

今気をつけないといけないのは感染症に加えて、足が動かないようにきちんと固定しておくことです。


父親リカルド(24歳)、母親サラ(19歳)は、ミラグロスちゃんの入院する病院の一室を借りて住まいとしています。

父親はその病院で電気工として働いているので、文字通りつきっきりなわけです。


一方最初から最後までずっとミラグロスちゃんのオペを担当するルビオ・イドロゴは



彼女が運ばれてきたときに最初は思ったよ―『どうして俺なんだ』

 とても難しい治療になるからね。でもね、いろいろ研究してがんばってきたんだ。


 彼女を地元のワンカヨからリマまで連れてくるのも一苦労だったんだ。

 あちらでは体が変形して生まれてきた子は罪を背負っていると思われているからね。


 昨日のテレビを見たかい?彼女僕の親指を握って離さないんだ。

 僕と彼女の関係?彼女は僕に命令する、僕はそれに従う、それだけさ、ははは。

 彼女が走るのを見るのが、僕の夢だね



次の大掛かりな手術は年末。二歳を彼女が迎えるまでに彼女が自力で歩ければ、とドクターは言います。


 

★おおきくなりました

昨年ペルー・ワンカヨで生まれたミラグロス(一歳ちゃんは

両足がまっすぐに伸びたまま皮膚でぴったりとくっついており

その見た目から「人魚症候群」という名を持つ、六万人に一人が発症する症状を持って生まれてきた女の子です。


milagros recien nacida



その症状を伴って生まれてくれば、ほとんどの子はすぐに死亡してしまいます。

生殖器官や肛門などは両足を完全にくっつけている皮膚によって覆われているし、

内臓もなかったり不完全だったりして、生き延びるに不十分な場合が多い。


しかしミラグロスちゃんの場合は腎臓にちょっと不備があるだけで、

後の臓器は完備し問題なく機能しているのです。

彼女のように人魚症候群にかかって生まれてきて、そして今この世に生きているのは

アメリカ合衆国、アジア、そしてペルーでの、世界で三人だけだといいます。


彼女は不運でしょうか?


それはこれから周りがどう彼女をサポートしていくかによります。


生まれてきたわが子を見た母親は、恐れのあまり見捨てて逃げ出したそうです。

父親はめげることなく首都リマの救急病院に駆け込み、迅速な処置を願い出ました。

人魚のような赤ちゃんが生まれた、というニュースはあっという間にペルーを駆け巡ります。


リマ市長のルイス・カスタニェーダが、

10年はかかるその治療に関する費用を全額負担することを約束してくれ、

娘の治療に付き添う父親にリマでの職を見つけてくれたのは

当事者達にもペルー国民にも明るいニュースでした。

それを聞いてか母親も戻ってきて、マスコミに笑顔を見せています。



昨日、ミラグロスちゃんは二回目の手術を受けました。

手術の最終目的は、皮膚によりくっついた両足を切り開き歩けるようにすること、

そして生殖器や肛門を正常に機能できる状態まで持っていくこと。


両足を切り開いた後にその断面を覆う皮膚を作るため、

くっついた両足の間のうち、股間のすぐした、太もも、ふくらはぎ、かかと、

その四箇所の部分の筋肉と皮膚の間に、風船を入れ、皮膚を伸ばすように工夫をしたのが

2月15日の前回の手術でした。


昨日の手術で行われたのは両足のくっついている部分の切断。

両足を結ぶ動脈も存在しており、手術は細心の注意を要します…。



milagros


5時間にわたり最先端の技術を使い、15人の各科のトップクラスの医者達が手を尽くし、

手術は成功!

両足は太ももの中ほどまで切り開かれました。

現在両足は石膏で固められていますが、12日後にはそれも取り除かれ抜糸、

15日後にはいよいよ足を自由に動かせるといいます。


両親、そして代父になったリマ市長ルイス・カスタニェーダも大満足です。


第三回目の手術ではいよいよ足を完全に切り開き、

生殖器官、肛門の形成、腰骨の安定を目指します。

目標は彼女が二歳を迎えるまでにハイハイができるようになること。


「人魚姫!」なんて言われて見世物になってる感じは否めませんし

ルイス・カスタニェーダもここぞとばかりに自分の好感度アップに利用しているといえばそれまでです。

しかし市長やマスコミに利用されずして、

田舎の一介の電気工事師が莫大な手術費用を賄うのはどうあがいても不可能なわけです。

逆に思いっきり利用されて、できるだけのことを親父さんは娘さんにしてあげてほしい。

僕ら国民もルイスが本当に責任を全うするか見届けなければいけない。



これからもペルデジはミラグロスちゃんに注目です。



…ちなみに僕の記事は、全て自分がペルーで買った新聞数誌の記事を自分で訳して勝手に載せてるわけです。

どこかの日本語で書かれた記事を参考にしているということは絶対にありませんが、ミラグロスちゃんの記事を

オカルト面から書いているHP もあります。

★この想い届きますように…




 今は遠くにいて見えないけれど

 きっと待っているその人に

 私の思いが届いたらいいな




…ふっと息を吹き込んで、震える手できゅっと蓋を閉めた。

この思いはきっと届く。


わたしはわかる。


この小さな瓶は

私の探すその人を求めて、

どこまでも流れていく。


わたしはわかる。


その人は蓋を開け、手紙を取り出してそして

わたしの想いがほとばしった文字を読む。



  ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

                                                       

│                                                      

│                                                      

│                                                      

│                                                      

            SOS 助けてくれ、頼む m(_ _)m                

│                                                      

│                                                      

                                                      

                                                     

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――



想いは届いた。命がけの想いだ。


5月28日23時47分、太平洋、コスタリカ領 ココナツ島 沖30海里沖に

88人の不法移民がいっぱいに詰まった、国旗も名前もない船が遭難しているのが見つかりました。

88人のうち45人はエクアドル人、43人はペルー人でした。



彼らはそれぞれアメリカンドリームを夢見て祖国を離れた者達。


コヨーテ隊


と呼ばれる人にお金を預け、問題なくアメリカに送り届けてやると保証してもらいました。



エクアドルをみんなで出発したのは5月24日。


コヨーテ隊の皆さんの船と一緒に太平洋を北上していたのですが26日、

コヨーテ隊の皆さんは、彼達の船を置いて、どこかに行ってしまいました。


無線も食料も水もないまま、

彼達は海を三日間さまようことになりました。


そこで、彼らの中の一人が、瓶にメッセージを書いた紙を入れ、海に流したのです。

緊急時の連絡手段とはとても思えませんが、しかしこれが

なんと届いたんです。


拾ったのはとある漁船のキャプテン、その漁船


王の中の王


と言う名前ですが、王の中の王なのに乗ってるのはキャプテンなんですね。

キャプテンはすぐに無線でSOSの連絡をし、

コスタリカの海上警備隊が出動しました。

どこにいるのか全く見当はつきませんでしたが、

奇跡的に船は見つかりました。


発見当時はめまいや吐き気を訴えておりましたが、

今は良好な健康状態にあると赤十字のお医者さまがおっしゃっています。





この記事に緊迫感がないのは、気のせいでしょうか…。